子どもの引きこもり・不登校
引きこもり・不登校とは、次のような状態を言います。「生徒・学生なのに学校に通えていない、あるいは、学校は卒業したが仕事に就けていないなど、その年齢相応の社会的な活動ができずに、主に自宅・自室内だけで生活し、家族以外の人との交流がほとんどない状態」です。これがある期間(数ヶ月以上)続くと社会的引きこもりと言われます。不登校・引きこもりの子は自分から治療に訪れることは、ありません。でも、悩んでいないのではありません。学校に行けない自分、仕事に就けない自分を責めています。その辛い気持ちから逃れるため、目を背けるために、昼夜逆転の生活をして家族との接触を断ち、またネットゲームなどに夢中になって目の前の現実から逃げようとします。
大きく分けると2つあります。
(1)多くの場合は、親子関係の問題です。家族内で親子が互いにぎくしゃくしてコミュニケーションがスムーズにできていない、いつも互いに緊張しているなどの関係が長く続いていると、子の側の緊張と不安が慢性的になり、何かのきっかけで問題が発生します。親が子どもに厳しすぎる、あるいは、親が忙しくて十分に子どもを見てあげられなかったなどの背景があります。
(2)二番目は、子どもに「ごく軽度の」発達障害がある場合です。ごく軽度なので学校でも気づかれずにいつの間にか本人が周りの人間関係についていけなくなり、自信を失って家に引きこもってしまうという場合です。
治療
まず、原因を特定します。その原因に応じて治療を行います。
(1)親子関係が問題の場合は親の相談・カウンセリングによって家族内の緊張と不安を和らげます。親子の豊かなコミュニケーションが回復すると、子どもが本音を語り始め、やがては引きこもりから脱していく力をつけて、自分から問題を解決します。
(2)子に「軽度」発達障害がある場合は、子が自ら問題を解決することはできません。障害の程度に応じて周りの環境を整えてあげて(環境調整)、子が持っている能力の範囲内で外に出ていけるようにすることが大切です。