摂食障害
摂食障害は、神経性食思不振症(いわゆる拒食症)、神経性過食症(いわゆる過食症)、特定不能の摂食障害に分けられますが、拒食症と過食症は相互移行性があり、多くの共通した特徴(極端な痩せ願望、ボディ・イメージの障害など)があり、一つの疾患として捉えられています。拒食症では、過剰な食事制限を行い、適切な体重を維持できず、極端な低体重が持続します。過食症では、むちゃ喰い(短時間に大量の食物を摂取し、食べることを制御できない感覚を伴う)を繰り返し、体重増加を防ぐため代償行動(自己誘発性嘔吐、下剤乱用、過剰な運動など)が出現します。根底に、「我慢をしていないと人に嫌われてしまう」という不安があります。そのために、我慢できない=太ることへの恐怖があり、過食した後に太らないように嘔吐や下剤の使用が伴うのです。この人から嫌われるという不安は、ほとんどの場合は、母子関係に起因するストレス・我慢・緊張に由来しています。カウンセリングでご自身の厳しい生き方(倫理規範)を見直すと子の症状が良くなることがあります。しかし、これにあてはあてはまらない、非典型的なものもあり注意が必要です。
■ 治療:精神療法やカウンセリングが有効です。ただしBMI15以下の場合はまず身体状態の改善が必要です。自分をコントロールできない、自分がダメになってしまうのではという大きな不安・恐怖、それが自分と母親との関係の中でどこから生まれてきたのかを探っていきます。これがカウンセリング(精神療法)の軸となります。不安や恐怖はその出所が見えてくれば、それだけで少しずつ小さくなっていくものです。このプロセスで子どもに強い不安を抱かせる母親側の理由もまた見えてきます。