躁うつ病
■躁うつ病は、憂うつで落ち込むうつ状態と、活動的な躁状態をくりかえします。躁の時期には、眠らなくても平気、アイデアが次々と浮かぶ、大きな買い物やギャンブルで散財するなどの行動が見られますが、とても気分が良いので、本人には病気の自覚がありません。時には誇大妄想に発展したり、周囲が馬鹿馬鹿しく思えることでイライラ感、易刺激性亢進のために対人・対社会関係のトラブル、金銭トラブルを引き起こしてしまいます。1~2ヶ月も過ぎるとうつ病相に転じることが一般的です。うつ病相に転じると、躁病相の最中に引き起こしてしまった、こうした問題に悩んでしまうことも多いのです。精神障害のなかでも非常に自殺の危険性が高い疾患です。自殺企図率は「うつ病」よりも「双極性障害」のほうが高いとされています。とくに、「躁」から「うつ」に転じたタイミングが最も危険で、「躁」の時の自分の行動を思い返し、激しく自分を責めて自己破壊的な行動に走ってしまいがちです。 また、「躁」の症状と「うつ」の症状が同時期に入り混じって表れる「混合状態(気分は落ち込んでいるのに、焦る気持ちが生じて、じっとしていられない)」にある人も自殺率が高いと言われています。
治療について
基本的な治療としては、薬物療法と精神療法があります。薬物療法では、気分安定薬を中心に、症状に応じて抗精神病薬、睡眠薬などを組み合わせて用います。精神療法には、心理教育、認知行動療法(考え方や物の捉え方、行動を変える)、対人関係療法、社会リズム療法(生活リズムの乱れを修正する)などがあります。これらの治療法のなかから、患者さんに合った方法を選択したり、組み合わせたりします。躁うつ病は、きちんと治療すれば改善出来る病気ですが、再発率は90%を超えるとされており、再発エピソードを繰り返すことで機能低下が進行する可能性があります。また、エピソードの発現数が、その後の治療効果低下や予後に影響を与えます。よって、正確な診断を下すこと、そして疾患の長期的経過をしっかりと観察していくことが重要とされています。