統合失調症
統合失調症は、多くは思春期から青年期に発症する精神疾患で、幻覚や妄想といった症状が特徴的です。人間の脳の働きは、神経のネットワークによって生まれます。見たり聞いたりした情報を処理する、考える、感情がわき起こる、こうしたことはすべて、神経のネットワークの働きによります。そのさまざまな働きをうまくまとめることができなくなっている状態、つまり「統合」が「失調」している状態が、統合失調症です。およそ100人に1人弱の割合で発病します。陽性症状として、幻聴(実際には無い声や音が聞こえる)、被害妄想(悪口を言われる、見張られているなど、実際には無いことをそう思い込む)、思考の混乱(物事を正確に理解・判断出来ない)、感情の不安定さ などがあり、陰性症状として、感情の起伏が乏しく、意欲が減退したり、興味や関心が弱くなる、他者とのコミュニケーションを避け外出をさけ、自分の部屋にひきこもるようになるなどがあります。多因子遺伝で起こると言われています。
治療について
統合失調症の治療にあたっては、継続的な薬物療法が一般的です。内服により、病気のために起こっている感情不安定、妄想、幻覚、思考の障害などを軽くすることができます。脳の中で起きている情報伝達機能の混乱を改善させることによって、症状が抑えられると考えられています。薬効には個人差があります。どの薬が一番よく効くか、どの程度の量にするか、副作用の問題はないかなどを検討しながら、その人に合った薬を見つけていく必要があります。そのためには、処方された薬を正しく服用し、その結果、楽になったことや、不快に感じることなど、何でも主治医に伝えていただく必要があります。早期の治療開始により、症状がほぼ消失し、ごく普通の会社員として仕事をしている方も多数おられます。新しい薬や治療法の開発が進んだことにより、多くの患者さんが、問題なく日常生活を送れるようになっています。しかし、症状がよくなったからといって、自己判断で服薬をやめてしまうと、再発することも多いので注意が必要です。糖尿病や高血圧などの生活習慣病と同じく、気長に病気を管理していくことが大切です。